光栄菊

 

1871年に創業し、2006年に135年の歴史に幕を閉じた光栄菊酒造。
2019年に約20年ぶりに復活した背景には3人の立役者がいる。

まず初めに、TV制作会社でディレクターとして番組制作に関わっていた田下氏。
日本酒をテーマにした番組を手掛けたことで日本酒の持つ文化的価値や、
地域における酒蔵の重要性に魅せられ、自身の手で日本酒を作りたいと思うようになった。
そして、番組制作でコンビを組んできた日下氏に声を掛けると、
日下氏は番組制作の仕事を辞めて長野県の酒蔵で修業しつつ、
一方の田下氏は醸造免許を持つ酒蔵を探し始める。

そんな中、日下氏がふと口にした藤市酒造の「菊鷹 雲外蒼天」。
なんとしても「菊鷹」の杜氏・山本克明氏に酒を造ってもらいたいという熱意のもと、
蔵のスタートとして全面的に杜氏として山本杜氏が加わることとなった。

二転三転しながら酒蔵探しは佐賀県の酒蔵「光栄菊」を譲り受け、
免許は他県の酒蔵から取得するかたちで、『光栄菊酒造』の復活が実現した。

そして、地元に愛された酒をもう一度飲んで頂きたいという想いと、
山本杜氏がかつて藤市酒造で醸していた『菊鷹』との『菊』という共通点から
『光栄菊』の名を継承する形で新生『光栄菊』は誕生した。

山本杜氏が目指す酒質は、「酸味と旨味があり、スッと切れる酒」。
絞りたては軽快な味わいだが、時間が経つと旨味や味わいが花開く、
伝統的な技術を自分なりに解釈・応用して醸している。

『光栄菊』は、「今まで世の中になかった心躍る酒を提供し続ける」
というテーマと同時に、酒造業を名実ともに世界に誇れる産業にすることを大きな目標に、
手本となるような労働環境、待遇面を整えることで若者が憧れ、
集まってくる酒蔵を目指す。

                                                                 

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