「逸見酒造」初代が酒造りを始めたのは、明治5年。
明治維新により国内が大きく動き、酒造業界でも酒株制度が廃止されたことから、
酒造免許鑑札により多くの酒蔵が誕生した時代のことです。
農業を稼業としていた初代がその米を加工したのが始まりです。
以来、史跡が多く残る真野湾を望む佐渡の地で代を重ねてきました。

仕込み量も一回に人の目が届く量に抑え、
米を蒸しその蒸し米に麹を加えてからは、手作業で五感を研ぎ澄ませて向き合います。
時代が変わってもその信念を決して曲げることなく、
いい酒に出会ったと思って頂けるよう丁寧に作り続けてきました。

酒造りに使用する酒米は、山田錦と五百万石、両者から開発された越淡麗。
この酒米に、かつて佐渡を襲った大渇水でも枯れることのなかった湧水が出会います。
かつて遠浅の海だった佐渡の一帯の地下には貝殻層が堆積し、
そこから濾過された水は一般に多い軟水に比べてやや野性味があり、
中硬水の水質は宮水に近いと言われています。
かけがえのないこの水の特性を生かして、「至」の酒造りが始まります。

「至」はフルーティーな香りと、さわやかな飲みくちが特徴でありながら、
コクや旨味も感じられるバランスが良いお酒です。
果実香から後味はすっきり辛口なので飲み手を選ばないお酒と言えます。

                                                         

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