自然郷・楽器正宗

 

『楽器正宗』を醸す大木大吉本店は良質な米の産地として知られる
福島県南部の矢吹町にあります。
慶応元年(1865年)に創業し
、1975年から作る純米酒の自然郷やパック酒も含めて、
80年代後半には製造量が7000石を超え、
隆盛を誇りました。

2011年3月の東日本大震災で蔵が全壊するなど、
翌年の酒造りは再開できないほど被害は深刻でした。
しかし、大震災という最大のピンチを変革のチャンスに変え、
東京の著名な建築家と復興プロジェクトを組み、
壊れずに残った古材を生かしながら修復が行われました。
また、多くのボランティアの支援もあり、
4年をかけて蔵を立て直しました。

現在醸される『楽器正宗』は、2001年から製造を休止していたものを
2016年に復刻し、二代目代吉の志を受け継ぐ醸造文化を進化させたお酒です。
大正年間に二代目が命名し、長年地元で愛されてきた銘柄『楽器正宗』の名前は、
二代目代吉の時、朝香宮様が当地を来訪した際、
大木代吉本店の酒を所望され大変気に入り、
その時随行していた宮内庁の雅楽師で君が代の作曲者とされる
奥好義(おく よしいさ)が「酒造りも楽器を奏でることも、元は同じく神様への捧げ物」
と言われたことに由来しています。
いい音楽を聴いた時の心が震えるような感動を、楽器正宗を飲んだ方に感じて頂きたいとの想いを込めて醸されています。

五代目蔵元であり杜氏でもある大木氏が目指すのは、
「香りも味も、突出するところのないナチュラルなテイストであること」、
「口開けから飲み切るまで、いつ飲んでも美味しいこと」。
そのために酸化の低減に最も注力し、搾った当日に瓶詰めすることを厳守しています。

瓶詰めの日から逆算して仕込み計画を立て、米の吸水率や温度、発行経過などを詳細にデータ化し、仕込み蔵に置いたPCでリアルタイムに管理するように改善を図りました。

華やかで香味に優れた淡麗な本醸造。
ジューシーで甘さと酸味のバランスに優れた芳醇な純米酒。
ひとりで飲むもよし、仲間と楽しみながら飲むもよし、
魚にも肉にもよく合い毎日飲んでも飲み飽きない、
好みの曲を聴くように暮らしに潤いを与えてくれるお酒です。

                                                         

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